About us
山﨑研究室は、東京工業大学環境・社会理工学院の建築学系に属する研究室で、大学院は建築学コースの建築デザイングループに属しています。専門分野は建築歴史・意匠で、主に建築史的な観点から建築・都市の魅力について学ぶとともに、実際の歴史的な建物についても調査や研究、保存改修設計などを行っています。
これまで山﨑研究室では、日本近代を主な対象として、近代の和風建築、帝都復興事業、建築家のアーカイブズ、戦後の近現代建築など、さまざまな研究テーマに取り組んできました。研究態度としては、既往研究の成果に立ちつつ、資料の更なる蒐集と精緻な読み取りから新しい知見を示すことを心がけています。近代という時代はそれほど昔ではないため新資料が発見・公開されることも多く、そうした新資料を用いた研究成果が全体像の見直しへとつながることも少なくありません。
また研究室では、こうした資料を用いた研究とともに、各地の歴史的建造物を調査して登録文化財に推薦・登録することや、その保存・活用にも取り組んでいます。文化財登録制度は、築後50年をその基本的条件の一つとする比較的新しい時代の建物を対象とした文化財保護制度ですが、構法や意匠にその時代の流行や地方的な慣習といった雑多な要素を多く含んでいるものが多く、これまでの重要文化財の修理で蓄積された考え方や技法だけでは十分に対応できない点が大きな特徴といえます。また、活用を前提に一部の現状変更を容認する制度のため、修理にあたっては基本的に現代建築と同じく現行法規が適用されます。研究室では、いくつかの建築設計事務所と協同してこうした歴史的建造物の保存改修に取り組むことで、歴史的建造物を現代の都市環境に活かすともに、そこで得られた知見を建築史研究に還元することを目指しています。
研究室の学生に対する希望としては、建築についてあまり理念的に捉えすぎず、物事の特徴を具体的に理解しそれを平易な言葉で表現できるようになって欲しいと思います。それには相応の時間と経験が必要ですが、常に意識して行動すれば自然と身についてくると思います。研究室では、建築家のアーカイブズ整理を通して図面を正しく読む技術を、また歴史的建造物の実測調査を通して建物を正確に捉え図面化する技術を身につけてもらうようにしています。